「…約束なんだよ」
「約束?」
尋ね返すと、サクはマグカップを弄ぶように手の中で回した。
「―――兄貴との、な」
その言葉にハッと息を呑む。
そんな私の反応にサクは小さく笑い、マグカップを私に渡した。
「……去年からの約束だ。“来年はマグカップにしよう”って」
―――来年は…
サクの言葉にそっと手の中に視線を落とす。
小花を散らした可愛らしいマグカップ。
これが―…
鏡夜の約束―…
「皐月」
ゆっくりと顔を上げれば、何とも言えない顔をしているサク。
きっと、迷ってるんだろう。
約束を果たすべきなのか、それとも、自分で選ぶべきなのか。

