―――――すべてがスローモーションのように見えた。
笑顔で走っていく男の子。
交差点を右折してきた大型トラック。
それに気づかない男の子を呼び止める、母親の悲鳴。
ざわめく人々の中で、ゆっくりと振り返った鏡夜。
そんな鏡夜の目に映ったのは、男の子目掛けて突っ込んでくるトラック。
私は、見えてない。
そして―…
「―――ッッ危ない…!」
私のすぐ横を通り抜け、走り込む鏡夜の後ろ姿。
手を伸ばす暇なんて、なかった。
微塵の迷いもなく、男の子を鏡夜が抱きしめた瞬間――――。
「っぃ、いやあぁ―――――っっ!!」
―――――青い野球帽が、宙を舞った。
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