「――――……戻ってきた」
私が走ってくるのを見て、サクがつぶやいた。
その声に楓は私に視線をやり、皐月。と私の名を呼ぶ。
瞬間、一歩手前で止まった私の手首を掴み、自分の方へ引き寄せる。
「っわ…!」
楓の強い力に抵抗する暇なんてなくて、目の前に迫る薄水色のシャツに固く瞳を閉じた。
ふわり―――。
最初こそ勢いはあったものの、私がぶつかると感じた痛みは襲って来ず、むしろ柔らかいものに包まれた。
「あまりはしゃぐな。まだ治ってないんだから」
耳元で楓の低く穏やかな声が、私の体に染み渡る。
「楓…?」
私が小さく身動きをすると、するりと腰に回されていた楓の腕が離れた。

