歪む視界の先にいるサク。
「…馬鹿で鈍臭くてのろまで。それでいてお人よし」
そのサクのまぶたがゆっくりとふせられる。
「ほんと俺もどうかしてる。…いや。お前も楓も。兄貴も」
口に広がる血の味が、薄くなる。
「だからこそ、俺たちは一緒にいたんだ。見返りなんか求めずに、ただ笑って」
あぁ、そっか。
私、泣いてるんだ。
「それの何が悪い?誰が何と言おうと、俺たちは俺たちだ。何も変わりやしない」
「っ…うん」
「皐月。何もお前だけ足がすくんでる訳じゃない。俺も楓も、兄貴もそうだ」
私だけじゃない。
その言葉が、ストンと胸の中に落ちてきた。

