『雨は―…』 「皐月」 鏡夜の声は突然聞こえてきた声によって遮られた。 2人同時に振り返り、近づいてくる人物に鏡夜の顔が和らいだ。 『朔夜…』 鏡夜がとても愛おしそうにつぶやく。 ……だけど、その声がサクに届くことはなくて。 無性に泣きたくなった。 でも。 「……どうしたの?」 泣いちゃ、だめ。 ふるふると頭を振り、立ち上がろうとする私を制し、サクが私の隣に座った。 そして一言。 「馬鹿」 言ったあと、小馬鹿にするようにサクが鼻で笑う。 突然のことに、私と鏡夜はまばたきを繰り返す。