「…今日、数学の授業があるの。教えてくれる?」
できない。
だめなんて言えない。
鏡夜が望むことを私が否定するなんてできない。
『皐月は数学、苦手だもんね』
柔らかく、そして嬉しそうに笑う鏡夜を見たら、もっと言えない。
言えないよ…
―――馬鹿。
『いいよ。俺が分かる範囲なら』
「受験生なのに分からない問題があるの?」
『うわ。ひどいよ、皐月。そんな嫌みを言うなんて』
「だってほんとだもん」
だから。
せめて、我慢はしないで。
傷口を塞いで、涙を隠そうなんて思わないで。
ね?
私に見せて、鏡夜。

