『皐月。心配しないで、大丈夫だから』
落ち着いた声だった。
深く染み渡る優しい声で、鏡夜は私の心配を断る。
私がその声に逆らえないのを知ってるから。
案の定、私は何も言えなかった。
ギュッと唇を噛み締め、鏡夜から視線を逸らした。
「……ばか」
『うん…ごめん』
ありがとう。
そう静かにつぶやくと、鏡夜は背を向けた。
その背中をじっと見つめる。
本当は、鏡夜が学校に来てくれるのは嬉しい。
久しぶりに一緒に学校へ行けるから。
鏡夜と一緒に、歩き慣れたあの並木道を歩ける。
でも……
「ばかだよ、鏡夜は…」
鏡夜を傷つけたくないんだ。

