鏡夜が約束を破ったことなんて、今まで1度もないから。





だけど、ほんとは眠くて仕方なかったんだ。



いろんなことがありすぎて。



瞼を閉じた瞬間、スゥーッと睡魔が襲ってきて。



意識を手放そうとした私の耳に、おやすみ、皐月。と愛しい人の声が落ちてきた。




もしかしたら夢だったのかもしれないけれど。



でも幸せだったから、夢でもいいかな…なんて。









『――早いね、皐月』





考えに耽っていた私を、いつのまにか閉じられていた瞼は開き、黒く澄んだ瞳が見つめていた。



思わず笑みがこぼれる。





「おはよう、鏡夜」




寝起きのせいか、少し声が掠れてる。



喉の調子を整えていると、くすくすと鏡夜が笑う。