いってらっしゃいお母さん、
いってきます紅々…
行かないで
だめ、行かないで
戻ってきてよ、お母さん!
「……いち…紅々。」
「…なん……つかさ……司様!」
カバっと飛び起きた
なんで なんで
司様は目の前で
本を読んでいた
「さっき帰ったんだ。色々済ませて遅くなって…心配かけてごめん」
「……怪我は?大丈夫ですか。何もおかわりは…」
良かった 良かった…
「ないよ、拳銃で撃たれたけどこれがとめてくれた。」
ポケットから
懐中時計を出した
真ん中がへこんでいる
「……なんで司様が、」
「犯人の要求が俺だった。偶然時計を持ってたから警察に一芝居するよう頼んだんだ、犯人は捕まったよ」
「……、」
一芝居…
「…撃たれた瞬間、本当に死んでしまったのかと………」
「……。」
司様は一芝居のつもりで
犯人は逮捕できて
「…良かったです。」
「犯人捕まって?」

