「畏まりました。」




わたしは二人を
後ろから見ながらついていった





部屋について水差しを
ベッドの近くに置く



運ばれた彼女はすーと眠っている




「やれやれ…。」



「薬をお持ちした方がよろしいでしょうか?」




「大丈夫だろう。…弱い癖によく飲むんだよ彼女は、」




「では私はこれで失礼いたします…。」




すたすたと
私は出口に歩いていく




「ありがとう。一ノ瀬さん、」




「…失礼いたしました」





頭を下げて部屋を出る

あなたが好き
憧れているだけでいい






夢を見ているだけでいいの





ダンッ!



ドアを開ける
直前で大きな音がした






後ろにドアノブを
握る司様が見えた


「…っ」




「何を怒っている?」




「怒っていません。…、」



「じゃあ何故こちらを見ない?」




息が首にあたって
一瞬ぞくぞくした…





「……、何でもありません。失礼いたしますっ」
















「あの子…」