花柳千暁さま 「……花柳さま。」 「なんだい?」 「どちらへ向かってるんですか?」 運転手付きの車の中、私は花柳様に聞いた。 「どこだと思う?」 わからないから聞いてるんじゃない。 「…分かりません。」 「一ノ瀬さん、司の母親が芸子だったというのは知ってるよね」 当然のように言われて、私ははいと頷いた。 「彼女がいた店だよ。」 「え…?」 「正確に言うなら司郎さまと涼さんが、出会った店……かな」 出会った店。 司郎さまと涼さんが…