いつもの彼だ 「よく出来ました」 すっと私の手から眼鏡を取り近くの棚においた 「……、」 「…だめ?」 「…私から…だめとは言えません…」 司さんは ふっと笑った 「主人の命には従うのが君の仕事だからね、…」 さらと司さんは私の襟足近くの髪に触れる 「伸びてきたな」 「え…あ、その…はい。なんか切る機会を逃して…て」 「切らなくていい。」 低く命令口調で言うものだから、はいと言いかけてしまった 「命令じゃないよ。紅々」 「つい…」 司さんは目を細めて微笑んだ