「なら良かった。連絡してみるわ、その時は兄様も付き合ってね」
「予定が合ったら付き合うよ、早めに教えてくれ」
-“蒼井”の名に興味があるだけだ。価値がないとわかったらすぐに離れていくよ。
なんだか複雑
建て前の彼と本音の彼
両方を見てるとどっちが本当の司さんなのか分からなくなりそうだ
「そこの君…確か一ノ瀬さん…だよね」
司さんの声がした
私ははっとした。
二人の時とは違うよそよそしさに少し寂しさも感じながら返事をした
「はい、一ノ瀬です。何か御用でしょうか」
「あぁ、ちょっと」
司さんは手招きしたので私は近くに行った
司さんはイスに座っていたので私は少しかがんで用件を聞いた
「これをお願い出来ないか。手はずは済んでるから」
ポケットからメモを出し私に渡した
メモには 栞様の帰国祝いのケーキを…と 書いてあった
「かしこまりました。ご用意致します」
「頼むよ」
司さんはにこりと笑った後、さっと私のエプロンのポケットにメモを入れた
私は一礼し、メイド仲間にメモの事を言ってから食堂を出た

