見てもいないのに頭によぎった
綺麗な琴の音にのせて唄う司郎様の声。
司さんは笑いながら聞いていたのかもしれない。
幸せな時間の中で…
「…紅々。」
「はい」
「旅行は京都に行こう。行って…一緒に捜してくれないか、母を…」
司さんは少し下を向いた
「…はい。」
頷いて司さんの目を見た
司さんはほっとしたように笑い俺、格好悪いなと微笑んだ
-君が望む望まないに関わらず君が司を好きなら、司に振り回されるよ。
私に言った花柳さんの声
振り回されてもいい。
これは私が決めたこと。
だから
だから大丈夫なの。

