「…だから別にいいんだよ」
今更…
なんでそんなに寂しいことを言うの
「……司さん、」
「なに?」
「自分の子供が可愛くない親はどこにもいないはずです。…」
司さんは 黙ったままだった
「…私の母が言っていました。もう今はいませんけど、」
「…いない?のか…」
「車の事故で、十年前に…」
司さんは そうかと呟いた
「だから…生きている可能性が少しでもあるなら捜して、お会いになられた方がいいです。その…司さんを置いていかれた事情もお分かりになるかも…」
司さんは ただ頷いた
「本当はわかってる。何か事情があって俺を置いていったんじゃないかって、けど…もしそうじゃなかったら？…そう考えたらなにも出来なくなった…情けないよな。大の大人が…」
「……」
