「私が司郎様から直接お聞きしました。…彼女は司郎様とは本来なら結ばれることはない身分の…そうあなたのような」
身分違い…
「司様の本当のお母様は芸子でした。しかし芸子の中では格上で容姿端麗でした。…司郎様はとある店で彼女と出会った。けれど司郎様はすでにご結婚され、奥様も息子…久光様がいらっしゃいました。彼女は妾としてこの蒼井家にいらしたんです」
「え…」
「…まぁいろいろありまして、結果司様がお生まれになりましたが…。司様が赤ん坊の時に涼様が家を出ることになり司様はそのままこの家の子となったのです」
そのままこの家の子
「…涼さんは?どちらに…」
「京都に戻られたと…それきり行方が分からないようです。私も司郎様に何回も尋ねたのですが、結局亡くなるまで口を割っては下さいませんでした」
「…そう…だったんですか、」
司郎様と涼さん…
なにがあって別れたんだろう。
「涼様は20代後半で司様をご出産なさりました。今現在居所が確かなら…40代といったところでしょうか…」
いま40代か…
肖像画の司郎様は厳しい中にもうっすらと微笑んでいる

