「似ていて当たり前なんだよな…司郎様…いや父さんなんだから…」
「…末吉さんはご存知なんで…すか」
司さんは うんと言った。
「…末吉は司郎様が当主だった頃から仕えているからね。…昔、おれが司郎様の子供だと聞いたとき真っ先に末吉に言ったんだ。末吉は既に知っていておれを慰めてくれた…」
そうだったんだ。
だから…あんな真剣に…
「…そうか、末吉に伝言を頼んだからその時なにか言われたのか…」
「いえ…そういう訳じゃないんですけど…」
司さんは私の手をキュッと握った。
「……そんな顔をしなくてもいい、紅々。君は笑っていた方が似合うよ」
「はい…」
いつもしっかりした声なのに
今はどことなく気が抜けた声で司さんは言った
「…まさか君に聞かれるなんてな、…」
「……」
司さんは すっと立ち上がった
「紅々…踊らないか?なにもないけど…」
「…はい」
素直に私は言った
いまの司さんは優しくしないと崩れてしまうんじゃないかと思った
司さんは私の手をとりステップを踏み出した
「…前も踊ったな、」
「そうですね…」

