まったく反省してない感じの花柳さまに余計イライラした
怒りを落ち着けながら仕事に戻ろう
ふと広間の光が目に飛び込んできた
ちょっと覗くと着飾った男女が談笑している
楽しそうだ
別にひがむとかそういう訳じゃないけれど
こういう…光景を目の当たりにすると嫌でも実感する
“お前はあちら側の人間で、こちらには入ってこれないのだ”
司さんが一瞬見えた。
笑っている
-迷惑な話だけど付き合いだからね…。
司さんはああ言っているけど慣れてるのだ。
だって元からあちら側の世界の人間なんだから…
言ってもわからない…
「…紅々。」
「あ…るみ、ごめんね。いま戻ろうとしてた…」
「…きれいでしょう。あっちの部屋…」
るみはぼうっと言った
うっすら笑う笑みはいつものるみと違った
どこか司さんがたまに浮かべる笑みに似ていた
「…うん」
「でも中身はすごい醜いわ。社交辞令で話して、外面は良くして……、パパは慣れろっていつも言ってたわ…」
「…るみ、」

