私達は荷物を広間に置き
また台車を押しだそうとした
「久しぶりだね…一ノ瀬さん」
「……か、花柳さま…」
花柳千暁さん…がいた
今日は珍しくスーツだった
「…じゃああたしはお先に…」
「…ごめん夏々。」
夏々はさっさと台車を押して戻っていった
「…司とうまくいったみたいだね。」
「はい、司さんとちゃんとお話をしましたから…。」
もとはと言えばこの人にいろいろ吹き込まれたせいで、司さんを疑ったりしたのだ
そう思ったら ちょっと腹がたった
「残念だね、まぁいいけど。」
「…花柳さま…」
「何だい」
穏やかに彼は言った
「もう私にいろいろ吹き込むのは止めてください。司さんの事にしろなんにしろ、…混乱してしまいますから。」
「ふぅん…悪かったよ、」
「では失礼致します。引き続きパーティーをお楽しみくださいませ…」
「一ノ瀬さん。最後に一つだけお節介をしてあげますよ、今日夜中11時半に裏庭に来てください。面白いものが見れますよ…」
花柳さまはニコニコ笑っていた
「失礼致します、花柳さま」
私はスタスタと廊下を歩いていった

