「…ちょっとお皿もうないの!?」
「いま倉庫から取ってきてるわよ!」
「メインのローストチキンはまだ~?」
「台車借りるわよっ!!」
「戦場みたいだわ。良かったぁ、あたし調理場担当じゃなくて…」
せかせかと調理場のある廊下を夏々と一緒に歩く
もちろん台車を押して…
「本当戦場だね。…」
「これで給料出さなかったら調理場ストライキ起こすわね…」
舞踏会が始まって3時間たった
ようやく手が空いてきた
始まったと同時に私達は広間と調理場・倉庫を何回も往復していた
「裏は…静かだね。不思議同じ屋敷なのに…」
広間につながる廊下は虫の声しかしないほど静かだった
「…不思議じゃないわよ。蒼井家は廊下も広いから声なんか聞こえないわ」
夏々はちょっと不機嫌だ
多分椿さまが舞踏会に来ていないからだ
何でも急用が入ってしまったらしい…
ツイてない…

