典人さんにキスされた事より―…
お酒と煙草がバレた事よりも―…
私は空兄のキスや言葉に、胸がギュッと縮むような痛みを覚えた。



「何で…」



…キスをしたの…?



「どうして…」



…あんな事を言うの…?



「空兄は…」



…好きな人が居るじゃんか…。

私はタイミング良く降り始めた雨の中に体を投げ出した。

流れそうな涙、唇に残る温もりも、雨に流して欲しかった。



「うあ゛ぁ゛ーッ!!」



心も…私にはいらない。

もう…、何もいらない。