焼けたパンを取り出し、お皿に並べ、サラダを作ってると、玄関の鍵が開く、ガチャッという音がした。

私はタオルで手を拭い、ちょこっとキッチンから廊下に顔を出して、「おかえりなさい」と、声を掛けた。



「あ、ただいまー。無事に来れたんだね(笑)」



優君が笑顔で入って来たのに、陸兄は「彼女が来てるなら、何故、俺を誘った!」と、入って来ようとしない。

オマケに、私だと気付いてない。



「“彼女”じゃないけど」



私はお腹を抱えながら、キッチンから出た。



「……海…?」



陸兄は鞄を落とし、固まってしまった。