男は一瞬私を見てすぐに視線をそらした。 誰か待っていたんだろうか。 携帯を開き見ると、男は頭をグシャグシャとかいて私のほうへ歩いてきた。 すれ違う男の表情はどこか悲しそうに見えた。 私は男が気になりはしたが振り向かずベンチへ急いだ。 (ラッキー!空いてよかったぁ) 私がベンチに座ると同時に声がした。