まだ夏の暑さを含んだ太陽がアスファルトを眩しく照らしている。
佑二はバイクのハンドルを少し力を入れて握ると、前方に待ち受ける難所を上手く抜ける自分の姿をイメージする。
(よし…大丈夫だ!)
その難所は山道特有の急カーブになっている。バイク仲間の誰もが難所と噂し、手前で減速を余儀なくされる。
佑二はそこをほとんど減速せず曲がり切ることが出来る、仲間内では数少ないテクニックの持ち主だった。
だがやはりその場所に差し掛かると、多少の興奮と緊張が押し寄せる。