「俺が事件のときに突入したのは知っているな」

「知っている」

「俺はある提案をするために乗り込んだんだ。
そのとき、森下と親父さんにあったんだ」

「何、提案って」

「世界を正しい方向にすることだ」

「………」

「だが、この二人は話に乗らなかった。
それもそうだろう。
高校生の意見を素直に聞く奴なんていないからな。
覚悟を見せてやると言って、自分で腹を刺したんだ」

「それで今、入院しているの」

「その時、賭けをしたんだ。
もし、ミコトが親父さんを殺さなかった場合『C』の下に付いてもらうと」

「ちょっと待ってよ。
なんで殺すことが賭けなのよ。
普通『勝ったら』でしょ」

「ミコトは『超越者』なんだ………
アカネの親父さんがいくら戦っても勝てないだろう」

「何を言っているの」

「そして、俺は賭けに勝ったんだ。
ミコトは親父さんを殺さなかった」

「だが、重傷は負ってしまった」


お父さんは悔しげに話した。


「僕はナナミと約束をしたんだ。
人を殺さないと………
そうだよね。ナナミ」

「うん」

「マサ、これから何をするのよ」

「簡単なことさ、『W』の組長をしてもらう。
その後、この国の防衛軍の将軍をしてもらう予定だ」

「何を言っているの」

「今度の戦争、この国『ヘブン』と『W』が戦うことは明白だ。
それに勝てばこの国は『W』に従わないといけない。
そうだろ」

「そうだけど………
マサの言っていることはまるで戦争に勝つこと前提じゃない」

「そうだよ。
全てミコトがやってくれる」

「………」

「アカネはただ『W』を戦闘準備させておいてくれ」

「ふざけないで………」


私の怒りが頂点に達した。


「私を馬鹿にするのもいいかげんにして」

「馬鹿になどしていない」

「でも………」


突然、部屋の空間が重くなった。
この感覚はお父さんだ。