Infinite Information

「よし、また上がっているね」

「そうですか。どれぐらいですか………」

「今は30だよ」

「そうですか………」


上がっていると言ってもその程度なら嬉しくもない


「ところで、『能力』のほうは使う気になったかい」

「………ありません」

「せっかくの『才能』を無駄にしたらいけない」

「僕の能力は僕自身にとっては素晴らしいものかもしれません」

「なら、使わないと………」

「使ったところで『将来の職』が見つかるわけでもありません」

「………困ったね」


森下先生は腕を組み、考え始めた。


「『将来の職』がなくても、『才能』は『才能』だよ」


森下先生は僕を見つめる。
僕も先生を見つめる。
沈黙した時間だけが過ぎる。
若い看護師が診察室に入ってきた。


「院長、混んできたので、そろそろ………」


看護師はカルテを森下先生の机に置きながら話した。


「それじゃあ。また来週来てくれ」

「………はい」


僕は森下先生にお辞儀をしてその場を離れる。
ドアの前でもう一度先生を見た。


「ありがとうございました」


僕はもう一度礼をして部屋を出た。
受付に寄らず、僕は病院から出た。
これで今日やるべきことは終わった。
僕は徒歩で帰宅した。




帰宅して、僕は椅子に腰を下ろす。

いつも通りの日常………
いつも通りの学校………

僕は生きているのだろうか。


あの時、『才能』に目覚めなければよかったのかもしれない。
気が付くと、僕は寝てしまった。
一人しかいない部屋の片隅で………