「俺は右腕のみ『強化』するがその『強化』はお前の親父さんの『強化』よりも上だ」

「つまり、この組織の中で現在一番強いのはあなただと言いたいのですか」

「そうだ」

「私と戦った場合、命の保証はありませんが宜しいでしょうか」

「それは俺が言うことだ」


男はまた私に襲いかかった。
私はまた避けて腰に入れておいたナイフを手にして男のお腹を刺した。


男は倒れた。
さらにもう一本男の足にナイフを投げた。
男の足に刺さった。
男は立ちあがることもできない。
目を見ると勝ちたいという意識だけが伝わった。
私は腰に入れた銃を取り出し男の顔に銃口を向けた。


「なぜだ。なぜ当たらなかったんだ」

「私の能力は『間接系』の『感覚』能力です」

「感覚………」

「人の感じる『時間』の『感覚』は人それぞれによって感じ方が違います。
早いスピードで走行すると稀にスローモーションのように感じることがあるそうです。
私は自分でそれをコントロールできるのです」

「つまり、俺がスローモーションのように見えると言うことか」

「そういうことになります」

「そうか」

「それから、もう一つ私の能力は相手の感覚も制御できます」

「………」

「私が作った粒子を相手に取り込ませることで相手の『時間』の『感覚』も制御できます」

「俺にはそんなもの感じなかったが………」

「使う必要が無かったからです」

「………」

「私が使用している武器には全て『キャンセラー』が付いています。
あなたに刺さっているナイフにも装備させており、刺さった状態であればどんな能力も使用できないようになります」

「だから、能力が使えないのか」

「私は戦う前に言いました。
『命の保証はありませんが宜しいでしょうか』と………」

「俺を殺すというのか」

「………」

「17の小娘が俺を殺せると言うのか」


バンッ………


私は引き金を引いた。

血が私の顔や服に付いた。