Infinite Information

僕とナナミは今日もデートをした。
帰りに駅前を通った時、ビルのスクリーンでニュースが流れていた。
僕達は足を止めて見た。
内容は『R』がテロ行為をして死亡者が五百人亡くなったものだった。
また、国の代表を含む大勢の政治家を人質に立てこもっているものだった。
僕はナナミに聞いた。


「これが戦争………」

「ううん、これは始まり………」


僕はしばらく考えた。
今すぐに逃げるべきか。
でも、早すぎないか。
もう少し始まってから逃げてもいいんじゃないか。
誰もこれが戦争になるなんて気づかないだろうし………


「ナナミ、逃げるべきかな」

「………うん」


僕はナナミの答えを聞き、頷いた。ナナミを信じよう。
逃げるためには準備が必要だ。


家に戻り準備しておいた荷物を取ってくるために………
集合場所と時間を決めて分かれた。
荷物を持ち、集合場所に行くとナナミはいた。
初めて待たせてしまった。


「遅れた。ごめん」

「いいの」


僕達は電車に乗り、町を離れた。
できるだけ田舎の方へ向かった。




僕達は一日掛けて遠くの方まで来た。
ニュースで起きていることが別の国のことのように思えた。
こうして、二人で遠くに移動したのは初めてだった。
でも、全然平気だ。
ナナミが横にいてくれるから………


僕達は電車を待った。
さらに遠くへ移動するためだ。
でも次に来る電車は約一時間後だった。
それまで僕達はTVを見た。
『R』はまだ抵抗していた。画面に『R』のボスが現れた。


録画したものだろう。
椿十郎は僕が『C』を辞めてからしばらくしてTVに顔を映すようになった。
録画されている内容も伊藤が話しているようなことで、高校生の真似をした集団のイメージとしか思えなかった。
だが、途中で録画が切れた。


速報が入った。
中継の人が話していた。
どうやら一般人がビルに入ったそうだ。
無謀な事をする人もいたものだ。
突入している映像が流れた。
突入したのは………


伊藤だった。