「ミコト、これまでしてきたことを全て捨てるつもりか」

「そうだよ。それが僕達のためだ」

「それが俺たちのためであろうと、世界は何も変わらなくなるぞ」

「世界がすべてじゃない。
僕は皆がすべてなんだ」

「………」

「そうか、それなら仕方がない」

「伊藤………ごめん」

「辻本、山本、ナナミはどうする」

「私はまだ残るわ。
世界の『W』が注目する組織『C』の今後が気になるしね」

「俺も参加するよ。これから面白くなりそうだから」


辻本と山本はまだ続ける気なのか。
問題はナナミだ。
これは賭けだ。
僕は抜けることを皆に伝えた。
もう戻れない。
お願いだ。
ナナミも僕と一緒に抜けてくれ………


「私は、考えさせて………」


僕は喜んだ。
一応、まだ決めてないのだ。
時間を掛けて辞めさせればいい。


「そうか。
それなら今週中までに報告してくれ」

「うん、わかった」

こうして、僕の『C』活動は終わった。




―――一か月が過ぎ、二月末になった。
伊藤はまだ『C』を継続していた。
山本と辻本も参加していた。
ナナミは休止という扱いになった。
僕は『C』を抜けて静かな時を過ごしている。
ナナミに話しかけ、休みの日はどこかへ出かけた。


平和に過ごした。
だが、世界は少しずつ『C』を中心に動き始めていた………