Infinite Information

「伊藤、俺を雇わないか」

「…」

「俺は情報屋だ。
俺の能力は伊藤にとっても『C』にとっても『W』にとっても必要な存在だ。
この十年間契約を守り続けた。
さらに契約通りに仕事もした。
俺と伊藤には信頼関係がある。
伊藤の返事次第で引き続き、契約通りの仕事をする」

「わかった。俺からも頼む。
『Cの世界』を造るには山本が必要だ。
それに『C』は五人いて初めて『C』だからな」

「ありがとう」


俺はリュックから書類を一枚出した。
そして、伊藤の前に置いた。


「これは」

「新しい契約書だ。
サインしてくれ」


伊藤は契約書を読んだ。



＜契約内容＞
『一つの仕事の報酬として二千万を貰う』
『必要な物品は提供する』
その代わり
『仕事で得た情報は伊藤に全て報告する』


伊藤は契約書を読み終えると俺を見た。


「高くないか。
金額が十倍になっているぞ」


伊藤の反応は予測していた。
十年前の俺と今の俺は違う。
今の俺は…


「今の俺は情報収集のスペシャリストだからな」




―――続く