「よく、ここまで来たね。
自己紹介が遅れた。
私の名前は金本ユウジだ。
この世界を造った一人として、またこの世界のエージェントをしていた者と説明させてもらう」


俺のことなど無視したように話し始めた。


「ちょっと待ってくれ。
アンタはさっき『Xファイル』は自分だと話したがどういうことだ」


俺にはまだ実感がなかった。
そもそも俺は『Xファイル』の手掛かりを求めてここまで来たのに、そこでいきなり手がかりから本体に着いてしまったのだ。
状況を整理しなければならない。


「『X』ファイルとは『W』内にファイルを保存してここに誘導する。
つまり、私の居場所と『超越者』の情報が入ったファイルだ」

「それじゃあ、アンタが映像で話した、世界の真実とは…」

「『この世界の全てを話そう』
話すとは一対一を意味しているんだ。
それがこの場だ。
そう理解してくれ」

「…わかった」


反論することは沢山ある。
だが、まずは状況の整理を最優先するべきだった。
俺は男の話を受け身で聞き続けることが今の状況としては最適だと考えた。


「アンタのことについて教えてくれ。
さっき、アンタは『この世界を造った一人』と話した。
また『エージェント』とも話した。
俺にはその部分がわからない。
まずは俺とアンタの頭を揃えさせてくれ」

「わかった。
私のこと、世界のことを話せばいいんだね…」

「ああ、そのあとに本題に入ってくれ」


男は頷いた。