俺はどうしていいかわからなかった。
こんな美人に名前を呼ばれるなんて今までなかった。
嬉しい限りだ。
でもなんで俺の名前を知ってるんだ。


「あの―、俺のこと呼びましたか」

「呼んだわよ」


俺は美人の顔を見た。
誰かに似ていた。
誰だっけ………


「すみません。
こんな美人な方に声を掛けられて申し訳ないんですけど、どこで会いましたか」


美人は突然笑い出した。
俺は笑いだした理由がわからない。


「私よ、『辻本アカネ』よ。
十年ぶりに再会したのに顔を忘れられるとはね」