「この世界は間違っている。
それをするにはどうすればいいのか。
俺なりに考えた結果が六代目総長が話した『強制』です。
ですが、この『強制』とは何をするものなのか。
簡単な事です。能力を使わないことです。
そんな国に俺はしたい」


私は『伊藤マサ』の言っていることの意味は分かるけど………


「まず、能力をやめ、この国を今まで以上に発展させる。
それが私のやりたいことです」

「そんなことしたら世界のバランスが崩れるだろ」


部下が問いただした。


「そうだ。それが俺の目標です。
『W』の『穏健派』の皆さんの知恵と皆さんのやる気があれば必ず出来ます」

「どうしてだ。
なんでわかるんだ」

「『C』にはこの世界の誰よりも優れた天才がいます。
彼女の導いた結果では失敗はないそうです」

「………」

「『Cの世界』、それは個々の産まれたときからあるとされる潜在能力がすべてではない世界、顕在能力を評価する世界のことです」

「そんなことが可能なのか」

「可能なのです。
だから、五代目総長、六代目総長、それに皆さんの力があれば可能なのです」

「マサ、これから何をするの」


私はわからなくなった。
どうすればそんな世界にすることができるんだろう。


「簡単な事だ。
親父さんをこの国の王にする。
そして、『W』はこの国で起こる反乱を片付けていく。
俺たち『C』は親父さんと『W』のサポートをする」

「そんなこと………
できないよ」

「できる。
この戦争だって勝ったじゃないか」

「でも………」

「俺を信じろ」


『伊藤マサ』が言った一言で私は決心した。
私は『W』の部下に言った。


「六代目総長として、皆に任務を与えます。
『Cの世界』を造りなさい」




―――続く