Infinite Information

「ヨシト………」

「なんです」

「あなたは逃げる隙があったら逃げなさい。これは命令よ」

「………」

「あなたはこんなところで死ぬ人ではない。
私が道を作る。
その隙に逃げて………」

「アカネ………
それは却下だ」

「どうして………」

「俺は逃げない。
好きな女の前で逃げるのは男として最低だ」

「ヨシト………」

「俺はお前が好きだ。
だから今までお前に着いてきた。
そしてこれからも………」


私は恥ずかしくなり下を向いた。


「ありがとう。私も好き………」


私は一人で敵に挑んだ。
きっとこれがヨシトと話す最後の時間だったんだろう。
でもいいの。

最後に気持ちを伝えられることができた。
最後ぐらい倒した数を覚えておこう。
きっと最高得点になるだろうから………

私はすべての力を出し、戦った。
でも勝てるわけがなかった。
一瞬の隙が生まれた。
そこに攻撃が入り、私はバランスを崩した。
残念だった。
もう少しで二千人までいったはずなのにここで終わりだ。


私は自分の能力を最大に使い、死ぬ瞬間までの時間を延ばした。
全てがスローモーションに見える世界で私は夜空を眺めた。
思い残すことはなかった。


このまま死んでも悔いが残らない。
ただ、ヨシトが気になった。
ヨシトは逃げてくれただろうか。
そんなことを考えていた。


敵は私の喉元を目掛けて刃物を刺そうとしていた。
スローモーションでも刺されるのは怖かった。


さようなら世界………
さようなら私………
さようなら………
ヨシト………


そのとき、私の身体を震わせるほどの圧迫感が襲った。


これは………