Infinite Information

『よう、辻本。元気か』

「元気よ。あなたは………」

『今『ノワール』って国にいるけど………
バン―――』

「どうしたの」

『『W』と『ノワール』が戦ってるんだ』

「そう」

『まあ、いつものことだからいいんだけど………
話って何だ。
神山が連絡しろってうるさくてさー』

「うん、知ってるかもしれないけど、私は『W』の総長をやってるの………」

『馬鹿だなー。
そんな冗談を信じるほど俺は馬鹿じゃないぞ』


『神山ミコト』は私のことを話さずに連絡を回したんだ………


「本当なの………信じて」

『はっはっはっ………
冗談を言うために連絡したんだったらもう切るぞ』

「山本………本当のことなの」

『………マジか』

「マジで………」


しばらく沈黙が続いた。
たぶん、『山本タクヤ』はどうするか迷っているのだろう。
相談に乗るか、乗らないか………


『俺にどうしろって言うんだ』

「その国にいる『過激派』の総長に連絡をしてほしいの」

『馬鹿言うなよ………
下手すれば俺が殺される』

「お願い、それしか方法がないの」

『………』

「ミコトが言ってたんだけど、『アカネにできるだけ協力しろ』ってマサが言ったらしいの。
山本も私に協力して………」

『伊藤には返しきれないほどの借りがあるからな………』

「借り………」

『よし、仕方がない。
その代わり、条件が一つだけある』


「何………」

『俺がいずれ『ヘブン』に戻ったら手伝ってほしいことがあるんだ』

「どんなこと………」

『それは話したくない』

「わかったわ。どんなことでも手伝ってあげる」

『よし、交渉成立だ』

「それじゃあ、今後のことなんだけど………」


『山本タクヤ』に『ノワール』で活動している総長と連絡をしてもらうようにした。
連絡が取れれば、その総長を中心に世界中の総長につながり、この国に来てくれるだろう。



―――三日後
午後三時に電話が鳴った。


「もしもし………」