「何」

「一つ目がこの前話した反乱のことなんだ。
アカネが殺害した辻本ダイゾウさんの息子さんの『辻本シュウイチ』が首謀者だ」

「本当に………」

「ああ。
孫が泣いているのに耐えかねて動き出した」

「それはいつ………」

「今日の夕方、俺の方に連絡が入った。
今は協力を呼び掛けているところだろう」

「バカバカしい。
これから『ヘブン』と戦うことになるのになんで身内と争わないといけないのよ」

「彼らも必死なんだ。
総長になりたいんだろう。
世代を超えても夢は同じなんだ。
あの家族は………」

「どうすればいいの………」

「まずは話し合うしかない。
大丈夫、俺もアカネの右腕としてサポートする」

「そう」

「俺を信じろ」

「今は誰も信じない。でも………ありがとう」

「おう、いいってことだ。
アカネは俺の嫁になる人だからな」

「………それはいや」

「今はいいんだ。
考えておいてくれ」

「………」

「これが俺の気持ちだ」

「そう、考えないけど………
ありがとう。
もう一つは………」

「もう一つは個人的なことだ」

「何………」

「アカネの家に入ろうとしたら、アカネの部下が俺を止めたんだ。
どうしてだ………」

「私がそうするように指示したから」

「なんでだ………」

「そういう気分だったの」

「解除してくれよ」

「考えとく」


私とヨシトはしばらく、話した。話すことで気持ちを整理したかったのかもしれない。
信用もしていないし、好意を持っていない。
けれどもこういうとき、話せる人がいて嬉しかった。
ヨシトでも………


「アカネ、そろそろ帰るぞ」