Infinite Information

―――夢の中
僕は目をあける。
お父さんとお母さんが目の前にいる。
不思議な感じがした。
もう十年以上も前に亡くなった両親が僕の前にいるのに僕は嬉しくなかった。
あたりは炎で囲まれている。
逃げ場はない。
お父さんは僕だけを助けようとしている。
お母さんはただ僕とお父さんを見ている。


何回見た夢だろう。
僕は夢に覚めていないことに気づく。

『記憶の再生』だ。

両親を助けることなどできない夢だ。
僕はこの夢の結末を知っている。
僕は見たくなかった。
僕は起きようとした。




目が覚めた。
椅子に座り寝たはずなのに起きてみると、僕は床に転がりこんでいた。
僕は周囲を確認する。
時計が目の前にあった。
僕は時間を確認する。
午後十時であった。
帰宅したのが午後四時だから六時間も寝た。
外を見ると夕暮れだったのが夜景に変わっている。


僕は立ちあがり、ベランダに行く。
外に出るとまだ賑やかな音が聞こえる。
僕は夜の町が好きではない。
能力で違法行為をするものがいれば、暴力、強盗、殺人と昼の世界とは一変した世界になる。
楽園の世界の夜はそういうところだ。
僕はもう一度眠りに入ろうとした。
夏が終わり、季節は秋。
自然の温度が気持ちいい。