【完】アイドル彼氏★好きになっちゃった

「ナナちゃん、どうかした?」


ベンチに気を取られながら歩いてると、栗田さんが不思議そうに尋ねてくる。


「あ……いえ。ちょっと、知り合いに似た人がいて」


翼に似てる?


帽子をかぶってるし、わかんない。


気にしないようにして、栗田さんと改札に向かう。


栗田さんが先に改札を出て、私も出ようとしたんだけど……


そこで、足が止まった。


「栗田さん!ごめんなさい、先に帰ってて下さいっ」


振り向いて驚いた顔をする栗田さんを残し、私はもう一度ホームへと走って行った。


さっきのは、翼かもしれない。


だって、いつもあそこで待ち合わせしてたんだもん。


私たちが乗ってきた電車が着いても乗る雰囲気なかったし、


今も、あのまま座ってるとしたら……!