【完】アイドル彼氏★好きになっちゃった

次の日の日曜も、朝からバイトが入っていた。


もちろん、栗田さんも。


バイトの合間に話したり、昼休憩に一緒に食事したり。


終わってからも、待っててくれた。


すごーく、いい人。


だけど、なんか決め手がないんだよ。


自分から行くには、好きになる要素が何か欠けてる。


栗田さんのせいというよりかは、自分の問題。


……翼を好きになったときって、何がきっかけだった?


人を好きになる方法さえ、忘れてしまった気がするよ。


そんな私の心に気付くわけもなく、栗田さんはいつものように送ってくれる。


地元の駅に着くと……


なぜか、ふと。


翼とよく待ち合わせをしてた、駅のベンチに目をやった。


……いるわけ、ないのに。


そこには、少し派手な帽子を目深にかぶった男の子が、ベンチに浅く腰をかけて座っていた。


まさかね……。