だけど、ナナの頬に触れてオレの方に向かせる。


「翼……」


人差し指でナナの唇を軽く押さえると、


戸惑ってる風に見えるナナが、そっと瞼を閉じた。


今日1日の不安をかきけしてやりたい。


キスひとつで、消えるわけなんてないんだけどさ。


軽くキスするつもりだったのに、唇を重ねたとたん、オレの胸元のシャツをギュッと握るナナを感じて……


ヤバい。止まらなくなってきた。


ちょっとだけキスを深くすると、遠慮がちにオレに応えてくるナナ。


……もうちょっと。


ナナの後頭部に手をあて、少し強めにキスをする。


「……はぁっ……んっ」


唇が離れたときに出た、ナナの甘い声にはっとした。


……やべ、車ん中だった。