悲劇のヒーローぶってるわけじゃない。 事実、私は世界で一番不幸な赤ん坊だ。 「開けてくれ。おい!かおり!」 不意に玄関のドアを叩く音がした。 そして、父親とは違う男の声。 血の気が引くのがわかった。 玄関を開けて入ってきた男は顔の下半分が髭に覆われた化け物みたいだった。 その薄汚い顔は私にそっくりだった。