キスしたくなる唇に。


「だ、だだだだって先輩が珍しく言うこと聞くから勘違いしちゃったんですよ! 夢だと思ったじゃないですかぁ!!」



先輩はまたふーんと鼻を鳴らして、しかしまだ無表情を持続。


やめてその無表情怖い。




「じゃ、じゃあ先輩あたしに噛み付いたこと覚えてたんですか!!」


「………」



あたしが焦りつつもそういうと、未だに布団を握り締めたままの先輩は、どういうことだが、静かに下を向いた。




「……あ、あの、黙られるのが一番困るんですが」


あたしはうつむいたまま帰ってこない先輩に、死んだんじゃないか、なんて疑問を持ちながらも話かける。



「………先輩…?」