キスしたくなる唇に。


そんな薄れかけた意識の中で聞こえてきたか細い声は、

「……俺も最近、君のせいでおかしんだよね」



弱弱しくも、はっきりとそう、耳元で吐息と一緒にあたしの中へ入り込んできた。


これはきっと夢なんだ。妄想なんだ。



だって先輩は、こんな、困ったような、弱い声なんか出さないもの。





…だとしたら、これをあたしは望んでるのかもしれない。


「……先輩、」



はぁはぁ、なんて苦しくて息を切らしながら、あたしは夢の中の先輩に話しかける。





すると、夢の中の先輩は『何?』といつもどおりの口調で、でもか細い声で反応してくれた。