「薮知さーん。薮知あずきさーん」 「薮知」 完全にあたしの意識は飛んでもう返ってこないと思った時、うざ声の千穂の声が嫌に響く。 とりあえず安眠妨害で一発殴ってやろうかと考えたものの、その後に続く低い声にあたしの脳内は過剰反応をみせた。 「………ぅぐ」 半だれのよだれをぬぐって、のっそりと顔を上げる。 「おはよ」 「…お…はよ」 半分ぼやけていた視界が一瞬にして春色に染まった。