彼…雄太郎を初めて見たのは入学式の日だった。
電車で通うことになった、地元から少し離れた高校。
クラスには地元の友達は一人もいなくて、ただただドキドキして……。
新しいクラスを確認して、教室に入って、座席を確認して。
それだけで精いっぱい。
窓際だったから、外を眺めながら、携帯でメールを打つふりをして時間をやり過ごしていた。
その時、
「おはよう」
背中に伝わる低い振動に驚いて、とっさに振り向いた。
振り向いた瞬間目に飛び込んできたのは、優しい笑顔だった。
えくぼと八重歯がすごく印象的で……。
周りの景色や人がかすんで、彼だけにピントがあった。
『好きだ』って、ストンと落ちるように腑に落ちた。
きっと、これが一目ぼれなんだと確信した。

