じゃあ、
私のファーストキスの相手は
春樹だったんだ。

「……春樹も覚えていないと思うよ」

「そうかな。まあ二人とも小さかったしね」

優にいちゃんは
以前は「口実」だなんて言っていたけど、
もしかしたら本当に
私のことを好きなんだろうか。

そんなことを考えながら
優にいちゃんの顔を見ていたら、

「ただの昔話だよ」

と、私の心を読んだように言った。

階段から降りてくる音がして、
春樹がリビングに入ってきた。

「二人で何やってんの?
俺にも紅茶淹れてよ」

何故か、春樹の顔をまともに見られない。

優にいちゃんは

「自分で淹れろよ」

と、言いながら
カップを取りに席を立った。