春樹と優にいちゃんの家は、
私の家からバス停二つ分遠くにある。

今日は春樹に
カメラのクリーニングキットを
借りることになっていたので、
数ヶ月ぶりに春樹の家に来た。

「この部屋に入るの久しぶり」

「あれ?
ここに置いたと思ったんだけど。
父さんの部屋かな」

春樹が、散らかった学習机の上をあさる。
マンガやカメラ雑誌が山積みになっている。
隣にある優にいちゃんの机は
きちんと片付けられている。

クリーニングキットを探しに
春樹は部屋を出ていく。

部屋は、男の子の匂いがした。
壁に春樹の撮った写真や
優にいちゃんの描いた絵が
無造作に飾ってある。