暗室に行くと、
春樹がネガフィルムを
乾燥機にかけている所だった。

「部長は?」

「また山にでも登ってるんじゃない?」

写真部の部長は
山岳写真ばかり撮っている人だった。
暗室には、遅い時間にしか
顔を出さないことが多い。

他の部員たちは
来たり来なかったり、
ゆるい感じの部活だった。

「ネガは現像したからさ、印画紙に焼いてよ」

春樹が甘えるように言う。

「だから、自分で焼きなよ」

「千里じゃないと駄目なんだよ」

手のかかる子供みたいに、
ワガママを言う。