翌日の朝、駅のホームには
優にいちゃんしかいなかった。

「おはよう」

「おはよ、春樹は一本早い電車で行ったよ」

私が尋ねる前に、
優にいちゃんは私の疑問に答えた。

もう五月なのに、
朝の空気はまだ冷たい。

「優にいちゃんは昨日、うちに来なかったね」

と、優にいちゃんに言うと、
部活が終わって自宅に電話したら、
春樹が居たので
そのまま帰ったとのことだった。

「春樹、かなりふさぎ込んでたよ」

ホームに入ってくる電車を眺めながら、
優にいちゃんが言う。

「俺、春樹と同室だからうっとうしくて。
ずっとベッドに潜り込んでるし」