「俺ねぇ、振られるのは詩穂ちゃんが初めてだったんだ。その時…すごい屈辱?味わった気分でさ。また会えたら、仕返ししてやりたくてたまんなかったんだ」


静香にそう告げる涼平さんの瞳はぞっとするほど冷たく、私は身震いした。


…嘘。


なに言ってるの?
ここ会社だよ?


―――私は逃げようとしたが、男の人の力にはかなわなくソファに組み敷かれる。
両腕はしっかり捕らえられ、頭の上に添えられてしまった。



「高野課長が早く探しに来てくれるといいね。…まぁ無理でしょ?会議中らしいもんね」


そう言ってうっすら笑う涼平さんの姿に、私は血の気が引いていく。


そのままゆっくりと、涼平さんの顔が私の首筋に近づいていく。
私はなすすべもなく、涙をこらえて顔を背けた。